鉄塔事業
安治川の特色
製作実績
鉄塔とは

安治川鉄工の特色

AGICS AG内面コーティングシステム

AGICS(AG Internal Coating System)とは、送電用鉄塔の長寿命化及び経年劣化対策、関西電力株式会社殿と共同開発した製品であり、溶融亜鉛めっき処理に加え鋼管の内外面に独自開発した厚膜のエポキシ樹脂塗料を粉体塗装した製品です。

塗装工程

溶融亜鉛めっき、化成処理後の製品に対し必要に応じてマスキングし、加熱炉で鋼管内外面を予熱します。
予熱完了後、流動浸漬法により塗装し塗膜硬化を目的とした焼付を行います。
また、環境調和や航空障害標識を目的とした色調を与える塗装の場合は、静電塗装法にて塗装を行います。

塗装工程
塗装設備(中国工場)

塗装設備(中国工場)

鋼管腹材 流動浸漬塗装

鋼管腹材 流動浸漬塗装

流動浸漬塗装

流動浸漬塗装は流動槽内に粉体塗料を入れ、槽の底部分に設置してある多孔板から圧縮空気により塗料を流動させた槽内に、予熱した製品を浸漬し熱融着により塗膜を形成させる塗装方法です。
溶融亜鉛めっきの上から1コートで200μm以上のエポキシ塗膜を形成させ、亜鉛層の消失を長期間抑制することにより、従来の溶融亜鉛めっき製品の約2倍の防錆効果が期待できます。

静電塗装

静電塗装は粉体塗料に電荷を与え、製品上に静電気的に塗着させる方法です。色調を与えるための塗装の場合、耐候性に優れたポリエステル及びフッ素樹脂系塗料を用いて塗装を行います。

    AGICSパンフレット(※PDFファイルが開きます)

点検、溶接補修

鉄塔MT点検

非破壊試験の一種であるMT技術を用いて既設の鉄塔を点検し、鉄塔の健全性を確認します。
既設鉄塔は建設時に不良が無くても、長年使用している間に風、地震、腐食など様々な外的要因で欠陥が発生します。MT(磁粉探傷試験)を用いて鉄塔の溶接部を点検、危険な欠陥が無いか調査します。

    非破壊検査について (※PDFファイルが開きます)

MT(磁粉探傷試験)を用いる理由としては

  • 危険度が高い表面欠陥の探傷ができる
  • 探傷精度が高く、小さな欠陥も検出できるため、欠陥の発展を未然に防ぐことができる
  • 表面直下2~3mmも探傷できるため、めっきや塗装の上からも探傷できる
  • 磁粉を液化させるため、拭取りが容易で鉄塔を汚さず、人体や環境への害が少ない
  • 磁化→磁粉液を散布するまでの時間が短く、連続的に検査できるため、効率が良い

などが挙げられます。

塔上でMT点検を行い、危険な欠陥が発見された場合は部材交換、補修などを実施し、鉄塔の延命を図ります。

鉄塔MT点検
鉄塔MT点検

鉄塔溶接補修

非破壊点検、目視点検などで鉄塔の健全性を確認し、部材交換、補修などの対策が必要になる場合があります。補修のひとつに鉄塔溶接補修があります。
部材交換は比較的容易にでき、かつ確実に効果のある補修方法ですが、電線を支持している鉄塔において部分的に部材の取り外し、解体は鉄塔の倒壊に繋がる危険があります。
そこで、溶接補修は鉄塔の解体や電気の停電をする事無く遂行できるため、重要な線路で重宝されます。

多くは高所での作業になるため墜落のほかにも火の粉や金属片の落下物、また雨風は溶接欠陥の原因になります。そのため足場などを組み、なおかつ風除け兼耐火シートをつけるなどの様々な対策が必要になります。
(写真は鉄塔の柱の腐食が進行していたため、プレートを溶接し、延命を図ったケースです)

塔上での溶接は風や雨水などが欠陥の原因になる他、縦向きや上向きなど様々な姿勢で溶接を行うため、特殊な溶接技術が必要になります。

鉄塔溶接補修


鉄塔溶接補修

基本・構造設計

立体解析・地震解析

鉄塔を立体モデル化し、加わる力を立体的に解析し、各箇所にどれだけ力が加わるか、地震などの強い振動が加わったときに鉄塔間でどのような挙動をするかを評価します。
解析手法として有限要素法を用いた線形・非線形解析、動的解析などを行います。

例)地震解析
地震が起きた時に鉄塔がどのように振る舞うか解析を行います。解析を行うときは立体モデルを作成し、有限要素法による解析(線形解析・非線形解析・動的解析など)を行い、強度評価を行います。

立体モデル

立体モデル

地震解析時の解析結果

地震解析時の解析結果

3D部材干渉判定プログラム

鉄塔を同じ位置もしくは重なるような位置に建替える時、お互いの鉄塔が干渉するか見極めるには時間がかかります。
 原因1 2次元の構造図から見極めるには十分な経験が必要
 原因2 干渉しないように再検討すると時間がかかる
 原因3 平面図なので直感的に干渉点が分からない
→3次元で干渉判定ができれば問題解決

この様な背景を基に手軽に部材が干渉するか判定できるプログラムを作成しました。

    3D部材干渉判定プログラムパンフレット (※PDFファイルが開きます)

解析例(赤い部分が干渉している部材)

解析例(赤い部分が干渉している部材)

技術のグローバル化

鉄塔事業部海外部は技術・市場の国際化に向け、技術分野でのグローバルネットワークの実現を目指しています。
その中心にすべく、1998年 ベトナム・ハノイ市にAG-VINAエンジニアリングを、2002年 タイ・バンコク市にAGタイランドを設立しました。(AGタイランドは2016年末に閉鎖)
またベトナムのDAST(DONG ANH STEEL TOWER)社、タイのAG&SCIMT社などの現地の鉄塔メーカーへの技術支援を行い、鉄塔・鉄構類の製作協力体制を維持、推進しています。
海外部は常に国内技術部門と連携し、東南アジアの鉄塔メーカーと良好な関係を保ちながら海外展開を図っています。

エンジニアリング子会社
AG-VINA Engineering Co., Ltd. (Vietnam)
成長するベトナムの躍動を伝える最新鋭設備を整えたアジアの拠点
事務所はハノイの中心部に位置しながらも、ビル12階にあり、市街地の喧騒から隔絶されています。
日本人・ベトナム人スタッフが、独自開発のコンピュータシステムを駆使して、日本、ベトナムはもとより、タイ、インドネシア、ラオスなど、アジア各地の鉄塔設計を行っています。

ベトナム・ハノイ市に所在するAG-VINAエンジニアリング

ベトナム・ハノイ市に所在する

AG-VINAエンジニアリング

現地で社員を採用し、東南アジアの鉄塔設計を実施しています

タイのAG&SCIMT社 技術支援や製作協力を行っています

タイのAG&SCIMT社 技術支援や

製作協力を行っています

ベトナムの鉄塔メーカーDAST社と

技術交流を行っています

中国工場 玉野タワーテスト場

荷重は電動モーターウインチ、または電動モーターチェーンブロックが使用されます。荷重方向は縦方向、横方向、垂直方向の3方向があり、縦方向と横方向には35トンの載荷能力を有するウインチがそれぞれ12台設置されています。また、縦方向、横方向および垂直方向に30トンの載荷能力を有するチェーンブロックがそれぞれ15個備わっており、補助装置としても使用されます。

高さ75m(120mまで拡張可)幅30m×30m、引揚力1,000トン/脚まで載荷する事が出来ます。

また、このテスト場は中国工場敷地内にあり、追加や設計変更などの緊急時に迅速に対応できる利点があります。

タワーテスト場全体図

タワーテスト場(設置前)

電動モーターウインチ及び電動モーターチェーンブロック

電動モーターウインチ

及び電動モーターチェーンブロック

コントロールルーム

タワーテスト(荷重試験中)